1.7とはなんだったのか(2)

仕様の策定

DAブラックホール1.7では、現行版(1.6)で表面化した課題の解決が目標であったがゆえに、スクラッチからの企画とは異なり、仕様の策定は早く進んだ。
以下はその主な優先順位と内容である。

  1. スタビライザーの実装
    交換機からの応答時間の精度補正と、PC本体やTA(携帯電話)の速度のバラツキの補正の両面を行い、解析時間に反映することにした。もちろんキャリア判定が視野に入った機能である。
  2. Windows7への完全対応
    1.6ではXPモードまでの対応だったのに対し、Vista/7への対応(主にUAC)が必須であった。市場ではすでにWindows7が販売されており、Windows8の販売も目前の状態であった。デベロッパーとしてはあまりに遅いタイミングといえたが、前回 述べたとおり1.6で打ち止めのつもりであったから、これはもう いたしかたなかった。
  3. データベースエンジンの変更
    1.6まではMicrosoft Jetデータベースエンジン(*.mdb)を使用していたが、1.7ではADOを用いることにした。データベースファイルも*.accdbに変更とした。
    これは最終的に「外部データ連結(外のファイルを読み込み、外に書き戻す)」の実装が前提であったが、可能であればMS SQLやOracle、MySQLへの接続を利用者にも提供することを目指した。最終的には、ローカルファイルやネットワークファイルへの接続にとどめ、SQLサーバーへの直接接続は見送った。
  4. ダブルタップ
    異なるキャリアを使用して「同時」に解析する機能。
    ISDN+PHS または FOMA+PHS の組み合わせで使用する前提であった。
    なおこの機能は、最終的に実装されず「マルチタップ」として、複数を順次解析する機能に変更した。その事情は別の機会に述べる。
  5. マルチライセンス対応
    複数のライセンスをひとつのDAブラックホールにまとめ、同時運用できる機能。
    先述のダブルタップもこの機能によってアクチベートされる予定だったが、テスト段階で深刻なトラブルに見舞われ、1.7では対応を見送る結果になった。

製品グレードの導入

さらに仕様と関連して、売価設定に初めて「グレード(エディション)」を導入し、価格傾斜をつけた。

たとえばキャリア判別を初めて行う人には、キャリア別に複数のエディション(ISDN+PHS または FOMA+PHSなど)を購入するのは高くつく。
それならと、全部入りにして安く好き放題にしてもらえるグレード「Professional」を設定した。

初めての人に Professional もないとも考えたが、実際には業務利用の方に最も購入されるバージョンとなった。(バラで買うよりも圧倒的に安いというのもあろう)

また正式に「2クライアント運用」をStandard/Professionalに認めることで、従来より実質値下げとした。ライセンス認証もこのエディションについては2本同時購入として取り扱っている。
ただし従来の1.6のような「1ライセンス/1クライアント」として導入したい方もおられるだろうから、Elements という 1.6の価格を据え置いたエディションも用意した。機能も1.6と同じだが、こちらは1.6の更新(Windows7移行)を目的とした方と、難関チケット攻略といった「趣味の方」に重宝されることになった。

(つづく)