1.7とはなんだったのか(1)

DAブラックホール1.7とはなんだったのか

2017年4月22日のアップデート・バージョン1.7.28をもって、1.7系で予定されていたすべての実装を完了した。

ただ、現在進行中の1.8系は、1.7.26からブランチされている。
今後も1.8系の継続によってバグがみつかったり、移行可能な改善点があれば、1.8系の恩恵というかたちで1.7に適用されていく予定だ。(1.7系のサポート終了まで)

とはいえ、1.7系の積極的なストリームはこれで終了となるので、この時点で
「1.7とはなんだったのか」
をふりかえってみる。

 

当初 1.7は計画になかった

もともと、DAブラックホールシリーズは1.6を最終版とする予定だった。
モバイル重視の2.0の開発計画も立ち上がっていたが、予想外にKDDI(au)のPSTN撤退が早く行われ、またウイルコムの事業的な行き詰まりも見え始めていたため、これ以上 PSTN網用のアナライザー開発を行うことは事業としては躊躇(ちゅうちょ)があった。
したがって 1.7があるとしても、Windows7用のローカライズバージョンになるだろうとして、申し訳程度の計画を2014年のガントチャートに置いていた程度だった。

ところが、フタをあけてみると 1.6系統の 企業カスタマイズ版である「docomo版」とPHS版の発注が予想を超えて多かった。
これは携帯電話販売店が「自社の顧客リストから」「かつての顧客が現在どのキャリアを使っているか」を調べたい、という要求によるものである。

たとえばMNPした顧客をDAブラックホールを使って探し出し、「もどってきなさい」「おかえりなさい」の営業をかけるといった用途などである。2011年にauがiPhoneを販売しはじめてからは、この用途が過熱していたという印象がある。

携帯電話キャリアの判別は、2001年のDAブラックホール1.3 FOMAキットですでに確立していたが、これが携帯電話販売店で細々と使用されていたにすぎなかった。
それを、独立して営業をはじめた方々が、一斉に活用をはじめた恰好であった。じつに10年経過して この部分でヒットが起きるというのは驚きだったし、この出来事はモノづくりと販売力・提案力の考え方に大きな示唆を与えてくれた。

ただ、携帯電話のキャリア判別を行うにあたっては、さらなる精度の向上が必要であった。1.6ではキャリア誤判定率が2割近くにのぼり、歩留まり向上のためには複数解析による精度補完が必須であった。これは利用現場のリソースを圧迫しかねなかった。

そこで、1.6をベースに最小限のエンジン改変によって、「キャリア」「モバイルキャリア」の各切り分け・判定能力を向上させたバージョン「1.7」の全体像が決まった。

(つづく)