1.7とはなんだったのか(4)

なぜVisual Basicを使うのか

DAブラックホール1.x系列は、一貫して「Microsoft Visual Basic」(VB6.0)を用いて作られている。
正直言うと、この古い環境は わりとキツい。特に「クラス」を使うときは、いろいろ気を遣う言語仕様だからである。

それでもこのプラットフォームを使用するのは、DAブラックホールのユーザーには依然として Windows95/98を使っている方が少なくないからである。

NTT INS64(ISDN)がOCNエコノミーによって大きく流行り始めたころを思い出してほしい。ISDNプロトコルモニターなど計測器の需要が爆発的に伸びたあのころ、世の中はWindows95/98で動いてるPCばかりであった。このため、ISDN用の計測機器ではWindows95/98を実装しているものが少なくない。I/Oドライバーは16bitネイティブを32bitに置き換えたもの、あるいは16/32bitが混在している機器もある。

このため、これらの機器を動かすOSはWindows95/98でなければならない。そしてDAブラックホールはこれらのシステムで動かなければならない。

「Microsoft Visual Basic」(VB6.0)は、1998年に完成した最後のWin32ネイティブであり、Windows10に至った現在においても、ほぼ問題なく動作する稀有なプラットフォームである。
こんな20年近く前のプラットフォームが問題なく動作する背景には、Officeに入っているVBA(VisualBasic for Applications)のメンテナンスが、現在もマイクロソフトで続いているということもあるだろう。

DAブラックホール1.7各エディション(Windows2000以降用)が、そのままWindows95/98で動作するわけではないが、少しの手直しとDLLの交換で動作するようには作っている。
個人的にはVB6.0用の通信プログラムに関する連載を専門誌で行っていたことがあって(単行本にもなった)、その点で 経験的にはわりと有利であるかなとは思う。

ただ、いまは .net 環境にすっかり慣れてしまっているので、どうしてもその勢いでVB6.0を使ってしまうところがあって、DAブラックホール1.7でも 何度か致命的な失敗をしてしまうことになった。

(つづく)