追想・岡本顕一郎(3)

Hagexの原点

日本では2003年ぐらいから本格的になった「ブログ」だが、この当時 ハッカージャパンでは非公式BBSという掲示板が存在し、放置されていた。
ただ誰も参加してなくて、たまに書き込まれるとすれば、記事に対する悪口だったので、
「前向きな意見が書かれていないうえに、それを放置されちゃったらライターは萎えるよ。これやってるの誰?」
と不平を述べると、編集部は「そういえば誰がやってるんだっけ?」という反応だった。
2003年4月16日である。

動いたのは岡本さんで、きっちり手続きをとって消してくれた。
「あの掲示板がライター諸氏のモチベーション低下の原因になるとは、僕も気が付いていませんでした。」
このとき僕は 岡本さんが何を優先して仕事をしているかに気がついた。
ライターが「書く気になる」ことを、原稿の内容よりも 上位においていたのである。

書く気になってもらうために、原稿を掲載する。

ライターに対する彼の編集者としての基本姿勢が、このときからハッキリと表れはじめていた。
そして同時に興味を持った。
世の中はブログブームだけど、岡本くんは 書くことはしないの?

そう聞くと、映画とか読書の日記は作ってるんですよ、ほら、と編集部のPCで そのページを見せてくれたのだけど、うわっ つまんねー!という印象だった。
記憶があいまいで確証はないが、おそらくそれは 初期のHagex-day.infoまたはその前身だと思われる。
この当時の岡本さんは、他の人の作品や文章はすっごく読めるけど、自身で文章を生み出すのはまだ苦手。そんなかんじだった。

なお当時の岡本さんもそれほど薄毛というわけでもなかった。
むしろ僕のほうが脱毛が進行していて悩んでいるぐらいだった。