ライセンスカードは、なぜ「再発行」できないのか

ライセンスカードの紛失(亡失)では、こういうケースがよくある。

3年前にDAブラックホールを会社で購入して使っていたが、先日、パソコンが壊れてしまい、あたらしいパソコンに再インストールしようとしたが、プロダクトキーが見つからない。
当時の担当者は退職しており、ライセンスカードの所在も不明である。
購入したときの振込明細書は残っているので、会社宛てにライセンスカードを再発行してほしい。

その気持ちはわかる。
わかるし気の毒だと思うけど、再発行はできない。(例外あり※1)
控えがないので物理的に再発行ができない※2というのもあるが、それとは別に、根本的な理由がある。

市販ソフトウェアのライセンスでは、使用する「権利」を条件付きで得る。
その権利が移転可能であれば、手放した時点で、権利は移転・または消滅する。

銀行でお金を引き出して、それを使ったり失くしてしまったとき、引き出した銀行に戻って
「ここで引き出したのはまちがいないので、もう一度、お金をくれ」
という人は まずいない。

上記のケースでは、

  • 会社で買ったと思っていたが、役員が個人で買っていて、退職と同時にライセンスカード一式を持ち帰った
  • 事業がのれん分けになった際に、口頭で譲渡が決まり、ライセンスカード一式は引き渡されたが、インストールされたPCは そのままを残された
  • そもそも購入した事実がなく、振込明細書は別の製品だった

などなどの事例がある。
もちろん、それらは違法性のない(または小さな)「きれいな例」「かんちがい」であるが、担当者が退職時に意図的に売却したり廃棄処分したりというドロっとした話もないではない。

いずれにせよ当社としては、よその内部事情に関わることはできないので、
「ライセンスカードを持っている人に使用権があるので、失くしてしまうと使用権も失います」
という説明をする。

※1 購入から1年以内であればなんとかなることもある。
※2 ライセンスカードの控えは当社にはなく、あるのは不可逆にハッシュ化された暗号文がデータベースに載っている状態なので、聞かれてもわからない。

災害・盗難は別

ただし、災害・盗難のように 亡失理由が公的機関によって証明される場合は別である。
罹災証明書や盗難届の写し(遺失届や紛失届は不可)により失くしたことが証明できる場合は、一定の条件で「補助ライセンスカード」を作成し提供する。

「補助ライセンスカード」は記名式のため譲渡はできないが、失くしたライセンスカードがみつかるまでの間、使用することができる。

ライセンスカードを失くしたら使用できない?

ライセンスカードを失くすと、ライセンス認証ができないだけではなく、インストール済みのソフトウェアも使っちゃいけない状態になるソフトウェア許諾契約もあるけど、当社の場合は、みつかるまでの間は使ってよい。ただ、あらたなライセンス認証はできない。

使用権ではなく 使用資格にはできないのか?

担当者がぞんざいだと ライセンスカードを失くしたときに困る。
そこで ライセンスカードによる使用権ではなく、個人・法人への恒久的な使用資格にすることはできないか?という要望もある。

使用資格というわけではないが、ライセンスカードに記名(自署)すれば、それに近い効力が発生する。
すなわち、ライセンスカードの余白に

  • 個人ならフルネームで自署
  • 団体なら組織名・社印

をそれぞれ記述し、「譲渡無効」と書いておく。
そのライセンスカードの原本は厳重に保管し、担当者には記名後のモノクロコピーを渡しておけば、不正・紛失・盗難に対抗できる。
不正な転売や持ち出しが発覚したときは、原本を用いて失効させることもできる。